COLUMN集客・マーケティング

住宅会社のSNS運用の進め方|工務店が続けて成果を出す目的・媒体選び・体制

住宅会社のSNS運用 続けて成果を出す進め方

「若い施主様との接点になるから」とInstagramのアカウントを開設したものの、投稿が続かずに止まってしまった。そうした住宅会社・工務店は少なくありません。

原因の多くは、目的・媒体選び・運用体制を決めないまま、とりあえず始めてしまうことにあります。本記事では、家づくりの中心世代が実際にどのSNSを使っているかを公的な調査で確かめたうえで、住宅会社のSNS運用の進め方を、目的の決め方、媒体の使い分け、運用の基本サイクル、施主様の写真の扱い、続けられる体制の順に解説します。

家づくり世代はどのSNSを使っているか

総務省の令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査によると、主なSNSの利用率は次のとおりです。新築住宅を検討する層の中心である30代・40代の数字を並べました。

サービス全年代30代40代
LINE92.9%97.9%96.6%
YouTube81.5%94.0%91.6%
Instagram54.8%76.6%67.1%
X(旧Twitter)44.7%67.7%57.0%
TikTok36.7%44.7%42.6%
Facebook27.0%37.4%38.9%

30代・40代では、YouTubeが9割を超え、Instagramも7割前後が利用しています。Instagramは女性の利用率が63.4%と、男性の46.2%を上回っています。施工事例を写真で見せるInstagramと、動画でじっくり伝えるYouTubeが、住宅会社の発信の中心になります。なお、Facebookは「中高年向け」と思われがちですが、この調査では30代・40代の利用率がほかの年代より高くなっています。

目的を言葉にしてから始める

SNSは「何のためにやるのか」によって、投稿すべき内容も評価の指標も変わります。目的があいまいなまま始めると投稿内容がばらつき、続ける理由も見失いがちです。住宅会社でのSNS活用の目的は、主に次の5つに整理できます。

目的中心になる投稿見る指標
商圏内での認知地域の施工事例、見学会の告知商圏内からの閲覧数、フォロワー数
検討中の方への情報提供家づくりの段取り、費用の考え方、チェックリスト保存数、共有数
施工事例で得意分野を伝える完成写真と、その家の工夫の説明保存数、プロフィールへの訪問
人柄で選ばれるスタッフや職人の仕事ぶり、現場の日常コメント、見学会での話題
OB施主様との関係維持点検の案内、暮らしの工夫の紹介OB施主様からの反応、紹介の数

たとえば目的が「施工事例で得意分野を伝える」なら、主役は写真の質と情報の具体性です。「人柄で選ばれる」なら、現場の人柄が伝わる日常の発信が中心になります。目的によって「良い投稿」の定義が変わるため、最初に社内で言葉にしておきましょう。

媒体ごとの特性と使い分け

SNSはそれぞれ得意な表現が異なります。すべてに手を出すのではなく、特性を踏まえて自社の目的に合うものを選びます。

媒体得意な表現住宅会社での使い方
Instagram写真・短い動画、保存して見返す施工事例、内装のアイデア、見学会の告知
YouTube長い動画でじっくり伝えるルームツアー、工法や性能の解説、家づくりの流れ
LINE公式アカウント登録した方への直接の連絡見学会の案内、資料請求後のやり取り、OB施主様への連絡
TikTok縦型の短い動画施工過程の早送り、職人の技
X(旧Twitter)短文と速報性お知らせ、スタッフの日常
Facebook実名でのつながり地域の告知、取引先や地元とのつながり

検討中の方に写真で届けたいならInstagram、工法や性能を深く理解してもらいたいならYouTube、というように目的から逆算して選びます。運用の人手が限られる会社は、まず1つに絞って軌道に乗せ、そこで貯めた素材をほかの媒体へ展開する順序が現実的です。LINEは発信よりも、関心を持った方との連絡の窓口として使うと、見学会や相談への誘導がしやすくなります。

企画から分析までの運用の基本サイクル

思いつきの単発の投稿では続きません。企画・撮影・投稿・分析のサイクルとして仕組みにしましょう。

図1 SNS運用の基本サイクル

企画

テーマの枠を先に決める

撮影・素材準備

各段階で撮りためる

投稿

見られる時間帯に届ける

反応の分析

月ごとに傾向をつかむ

分析で分かった傾向を翌月の企画に反映して回し続ける

企画

月ごとに投稿テーマの枠を決めておくと、毎回ゼロから考える負担が減ります。「月曜は施工事例、水曜はスタッフ紹介」のように曜日で枠を固定する方法がよく使われます。ネタを考える作業と投稿を作る作業を分けられるのも、この方法の利点です。

撮影・素材の準備

現場の撮影は、基礎・上棟・内装・完成の各段階で行います。素材が尽きることは、運用が止まる最大の原因です。撮影の機会があれば、使う予定がなくても多めに撮っておく習慣をつけましょう。現場に行く社員全員が「ついでに撮る」文化をつくると、素材は自然に貯まります。現場の写真は、施主様への着工後の報告にもそのまま使えます。報告の頻度や伝え方は住宅会社の着工後コミュニケーションで紹介しています。

投稿

投稿は、施主様がSNSを見やすい時間帯に合わせます。仕事や家事が一段落する平日の夜や、週末の午前を試し、反応を見ながら自社に合う時間帯を探します。ハッシュタグや位置情報を設定すると、フォロワー以外の方にも検索から届きやすくなります。地域名を入れたハッシュタグは、商圏内の方に見つけてもらう手がかりになります。

反応の分析

いいね・保存・コメント・フォロー数の増え方などの指標を月ごとに振り返り、反応が良かった投稿の共通点を探します。難しく考える必要はなく、「どのテーマ・どの写真が伸びたか」を翌月の企画に反映するだけでも、投稿の質は着実に上がります。あわせて、見学会の予約や問い合わせの際に「何を見て知ったか」を必ず聞き、SNSから来た方の数を数えておきます。

Instagramで押さえる3つの基本

住宅会社で最もよく使われるInstagramについて、押さえておきたいポイントを整理します。

図2 Instagramで押さえる3つの基本

1. プロフィール

  • 何の会社かが一目で分かる
  • 得意分野と対応エリアを明記

2. 投稿一覧の統一感

  • 写真の明るさと構図をそろえる
  • 色味のルールを共有する

3. 保存される投稿

  • 後で見返したくなる内容
  • チェックリストや役立つ情報

いいねの数より、検討中の方の手元に残るかどうか

プロフィール

プロフィール欄には、会社名・得意分野・対応エリア・問い合わせ先を明記します。投稿を見て興味を持った方が最初に確認する場所のため、見た瞬間に「何の会社か」「誰向けか」「どこで頼めるか」が分かる構成が理想です。対応エリア外のフォロワーをいくら集めても問い合わせにはつながらないため、エリアの明記は特に重要です。

投稿一覧の統一感

写真の明るさや構図をそろえると、プロフィール画面全体が作品集のように見えます。明るすぎる写真や色味がばらばらの写真が混ざると、1枚ずつは良くても全体の印象がぼやけます。撮り方と色味の調整をルールにして、誰が投稿しても同じ印象になるようにしておきましょう。

保存される投稿

検討中の方の手元に残るのは、いいねより保存される投稿です。「収納の工夫」「家事動線の考え方」「打ち合わせ前のチェックリスト」のように、後で見返したくなる内容が保存を呼びます。完成写真に一言添えるだけの投稿より、その写真から学べることを言葉にした投稿を意識しましょう。

施主様の写真と口コミの扱い

施工事例の写真は、必ず施主様の許可を得てから使います。表札や住所の分かる外観、ご家族の写り込み、室内の私物などは、許可があっても配慮が必要です。どの写真をどの媒体に載せるかを、引き渡し時に書面で確認しておくと安心です。

施主様に投稿や口コミをお願いする場合は、景品表示法のステルスマーケティング規制にも注意します。消費者庁のステルスマーケティングに関するページのとおり、令和5年10月1日から、広告であるのに広告と分からない表示は景品表示法違反になりました。会社が第三者に依頼・指示した投稿も広告に含まれ、SNSの投稿も対象です。規制の対象になるのは依頼した会社の側なので、謝礼を渡して投稿をお願いする場合は、会社の依頼による投稿であることが分かる表示にしていただく必要があります。

止まらない体制とSNSの位置づけ

担当者1人に任せる体制では、その人の異動・休暇・退職で運用が止まります。投稿のネタを複数人でためる、月に一度の企画会議を設ける、素材の撮影には全社員が協力する、といった組織としての体制づくりが欠かせません。

あわせて、SNSを過信しないことも大切です。SNSだけで契約に至るケースは少数で、実際には、SNSで興味を持った方がホームページを訪れ、資料請求し、見学会やモデルハウスに足を運ぶ、という流れの入口を担います。フォロワー数だけで一喜一憂せず、集客の流れ全体の一部として役割を評価しましょう。SNSで反響が増えても契約が増えない場合の原因と対策は、工務店の受注率を上げる方法で解説しています。来場された方の要望を最初の面談で聞き取る方法は、住宅会社の初回ヒアリングシートの作り方を参考にしてください。

よくある質問

住宅会社がSNSを始めるなら、どの媒体から始めればよいですか?

施工事例の写真が撮れるならInstagramから始めるのがおすすめです。家づくりの中心世代である30代・40代の利用率が高く、写真で得意分野を伝えやすいからです。動画を撮る人手があれば、ルームツアーなどをYouTubeで発信し、短く切り出した動画をInstagramにも載せると、少ない素材で両方を運用できます。

投稿はどのくらいの頻度で続ければよいですか?

無理なく続けられる頻度を決めて守ることが大切です。週に数回と決めて止まるより、週1回でも半年続けるほうが、投稿一覧に事例が貯まり、見た方の信頼につながります。曜日ごとのテーマの枠と撮りためた素材があれば、頻度を上げるのは後からでも間に合います。

SNSから問い合わせや来場につながらないのはなぜですか?

投稿を見た方が次に何をすればよいかが示されていないことが多くあります。プロフィールに対応エリアと問い合わせ先、見学会の予約方法を載せ、投稿にも見学会や資料請求への案内を定期的に入れましょう。対応エリア外のフォロワーが多い場合は、地域名を入れたハッシュタグや、地元の施工事例を増やして、商圏内の方に届く発信に寄せていきます。

まとめ

住宅会社のSNS運用は、目的を言葉にすることから始まり、媒体の特性に合わせた使い分けと、企画・撮影・投稿・分析のサイクルで成果に近づきます。家づくり世代の30代・40代では、YouTubeとInstagramの利用率が高く、施工事例を写真と動画で伝える発信が中心になります。

Instagramではプロフィール・投稿一覧の統一感・保存される投稿の3点が基本です。施主様の写真は許可を得て使い、投稿をお願いするときはステルスマーケティング規制に注意します。担当者個人の頑張りに頼らず組織で続けられる体制を整え、SNSを集客の流れの入口として位置づけることが、長く成果を生む運用につながります。

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